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民法で、「相手に催告をしたときに確答がない場合の効果」にはいろいろなパターンがあって覚えにくいですよね。
これらの催告に対して確答がない場合には、催告をしたときの状態が維持されるとだけ覚えておけば大丈夫です。
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催告のパターン
催告権は、不安定な地位に立たされる相手方を保護するためにあるということを頭に入れておきましょう。
法律関係を確定させておかないと、いつ取り消されるか不安じゃぞ!
催告したときのパターンには、以下のようなものがあります。
制限行為能力者
制限行為能力者との契約の相手方は、保護機関(法定代理人・保佐人・補助人など)または行為能力者となった制限行為能力者に対して、1か月以上の期間を定めて、その期間内にその行為を追認するかどうかの催告をすることができます。
この場合、制限行為能力者との契約はいったん有効になされています。
ですので、催告を受けた保護機関(法定代理人・保佐人・補助人など)または行為能力者となった制限行為能力者がその催告期間内に確答を発しない場合は、有効の状態を維持したまま、つまり追認したものとみなされます。
例外
この場合、相手方は、被保佐人や被補助人に対しても、保佐人・補助人の追認を得るべき催告をすることができます。
被保佐人、被補助人は単独で追認はできません。
ですので、被保佐人・被補助人が催告期間内に確答を発しない場合は、取消したものとみなされます。
- 20条
❶ 制限行為能力者の相手方は、その制限行為能力者が行為能力者となった後、その者に対し、一箇月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、その者がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす。
❷ 制限行為能力者の相手方が、制限行為能力者が行為能力者とならない間に、その法定代理人、保佐人又は補助人に対し、その権限内の行為について前項に規定する催告をした場合において、これらの者が同項の期間内に確答を発しないときも、同項後段と同様とする。
❹ 制限行為能力者の相手方は、被保佐人又は被補助人に対しては、第❶項の期間内にその保佐人又は補助人の追認を得るべき旨の催告をすることができる。この場合において、その被保佐人又は被補助人がその期間内にその追認を得た旨の通知を発しないときは、その行為を取り消したものとみなす。
無権代理人
無権代理の契約の相手方は、本人に対して、相当の期間を定めて、その期間内に追認するかどうかの催告をすることができます。
この場合、無権代理行為ですので本人には効果が帰属していません。
ですので、本人がその催告期間内に確答を発しない場合は、本人に効果が帰属していない状態のまま、つまり追認を拒絶(無権代理に確定)したものとみなされます。
114条
前条の場合において、相手方は、本人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなす。
選択債権
選択権を有する選択債権の相手方は、選択権を有する当事者に対して、相当の期間を定めて、選択すべき旨の催告をすることができます。
この場合、当事者はまだ選択権を行使していません。
ですので、本人がその催告期間内に選択権を行使しない場合は、選択権が行使されていない状態のまま行使できなくなります。その結果、選択権は他方の当事者へ移行します。
408条
債権が弁済期にある場合において、相手方から相当の期間を定めて催告をしても、選択権を有する当事者がその期間内に選択をしないときは、その選択権は、相手方に移転する。 弁済期が到来し、相手方が相当な期間を定めて催告をしても、選択権が行使されない場合には、選択権は相手方に移る。
解除権
解除権の行使について期間の定めがないとき、相手方は、解除権を有する者に対して、相当の期間を定めて、その期間内に解除するかどうかの旨を催告することができます。
この場合、解除はまだされていません。
ですので、相手方がその期間内に解除の通知を受けない場合は、解除されていない状態のまま、つまり契約は存続し、解除権は消滅します。
547条
解除権の行使について期間の定めがないときは、相手方は、解除権を有する者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に解除をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。 この場合において、その期間内に解除の通知を受けないときは、解除権は、消滅する。
予約権
売買の一方の予約で行使期間の定めがないとき、予約者は、相手方に対し、相当の期間を定めて、その期間内に売買を完結権を行使するかどうかの旨を催告することができます。
この場合、売買はまだ成立していません。
ですので、相手方がその催告期間内に確答しない場合は、売買が契約されていない状態のまま、つまり売買の一方の予約は失効します。
556条
❷ 前項の意思表示について期間を定めなかったときは、予約者は、相手方に対し、相当の期間を定めて、その期間内に売買を完結するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、相手方がその期間内に確答をしないときは、売買の一方の予約は、その効力を失う。
遺贈
遺贈者やその他の利害関係人は、受遺者に対して、相当の期間を定めて、その期間内に遺贈を承認するか放棄するかの催告をすることができます。
この場合、遺贈はいったん有効になされています。
ですので、受遺者がその催告期間内に確答を発しない場合は、有効の状態を維持したまま、つまり遺贈を承認したものとみなされます。
987条
遺贈義務者(遺贈の履行をする義務を負う者)その他の利害関係人は、受遺者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に遺贈の承認又は放棄をすべき旨の催告をすることができる。この場合において、受遺者がその期間内に遺贈義務者に対してその意思を表示しないときは、遺贈を承認したものとみなす。
問題1)法定代理人の同意なくしてなされた未成年者の財産行為で、相手方が法定代理人に対し、1カ月以上の期間内に当該財産行為を追認するか否か確答すべき旨を催告したが確答が発せられなかった場合、その未成年者の行為は取り消すことはできない
正解は、( ○ )です。
問題2)Aは成年被保佐人Bとの間で、Bの所有する不動産を購入する契約を締結したが、後日Bが制限行為能力者であることを知った。Aは1カ月以上の期間を定めてBに対し保佐人の追認を得るべき旨を催告したが、所定の期間を過ぎても追認を得た旨の通知がない。この場合、その行為は追認されたものとみなされる
正解は、( × )です。
まとめ
「相手に催告をしたときに確答がない場合の効果」はパターンをひとつずつ覚えるのではなく、催告したときの状態が維持されることだけ覚えておきましょう。
これだけ覚えていれば、引っ掛け問題に惑わされることはありません。
制限能力者に対しての催告は、1年間以上の期間を定めて催告しなければいけないことも合わせて覚えておきましょう。