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【民法レッスン】立証責任

こんばんは。 行政書士挑戦中のひねもすのたり管理人のブソンです。→合格しました!

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民法では、「立証責任」はどちら側が果たさなければいけないかを問われることがよくあります。

立証責任を果たさなくてはいけないのは、立証することによって利益を受ける側が証明するのが原則と覚えておきましょう

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パターン

立証責任を果たす側のパターンには、以下のようなものがあります。

不法行為

不法行為とは、故意・過失に基づく加害行為によって他人に損害を与えた場合、加害者に被害者の被った損害を賠償させる制度です。

加害者の故意・過失の立証が、不法行為の成立要件の一つです。

不法行為の裁判では、加害者が自分に故意や過失が存在しなかったことを証明しなくてはいけないのか、被害者が加害者に故意や過失の存在があったことを証明しなくてはいけないのか、どちらでしょうか。

この場合、立証することによって利益(賠償金)を受けるのは被害者側です。

ですので、不法行為の成立要件の立証責任は被害者側にあります。

 

 


709条

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

時効取得

時効取得には、時効取得を主張する場合と、時効取得の成立を覆す場合があります。

時効取得を主張する場合

10年間、所有の意思をもって、平穏かつ公然と他人の物を占有した人は、その占有の開始の時に、善意かつ過失がなかったときは、その所有権を取得します。

10年間、他人の物を占有した場合、時効取得を主張する側が自己の所有と信じたことに無過失であったことを立証しなくていけないのか、時効取得を否定する側がその推定を覆す事実を立証しなくてはいけないのか、どちらでしょうか。

この場合は、時効の主張をすることによって利益を受ける(時効取得成立)のは時効取得を主張する側です。

ですので、時効取得の成立要件の立証責任は時効取得を主張する側(占有者)にあります。

 

 

時効取得の成立を覆す場合

占有者は所有の意思をもって、善意で、平穏かつ公然と占有をするものと推定されています。

占有者の占有が自己占有に当たらないと時効取得を争う場合は、他主占有に当たると主張して推定を覆すことによって利益を受ける(時効取得不成立)のは時効不成立を主張する側です。

ですので、時効取得不成立要件の立証責任は時効取得の成立を否定する側にあります。

 

 


162条

❶ 20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する

❷ 10年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する

186条

❶ 占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定する

❷ 前後の両時点において占有をした証拠があるときは、占有は、その間継続したものと推定する

債務不履行

債務不履行とは、契約によって約束した義務を果たさないことです。

債務者は契約のときに履行することを約束しているはずなので、履行しなければ当然に債務不履行になります。

債権者側は、債務不履行によって何か利益を受けるわけではありません。

逆に、債務者には自己に帰責事由がなかったことを立証することで債務不履行の責任追及を逃れるという利益があります。

ですので、債務不履行を免れるための立証責任は債務者側にあります。

履行補助者を使用した場合に、履行補助者の行為によって債務不履行が生じたときも同様です。

 

 


415条

債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

責任無能力者の監督責任

責任無能力者の行為は、第三者に対して不法行為の賠償責任を負いません。

けれど、責任無能力者の監督義務者や代理監督者は、その監督を怠らなかったことやその義務を怠らなくても損害の発生を避けられなかったことを証明しないと、第三者に対して不法行為の賠償責任を負うことになります。

証明することで賠償責任を免れるという利益が発生するので、この立証責任は監督義務者や代理監督側にあります。

 

 


712条

未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない

713条

精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、その賠償の責任を負わない。ただし、故意又は過失によって一時的にその状態を招いたときは、この限りでない

714条

❶ 前2条の規定により責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない

❷ 監督義務者に代わって責任無能力者を監督する者も、前項の責任を負う

 

問題1)債務者が自己の債務を履行しない場合、その債務不履行が債務者の責めに帰することができない事由によるものであることを債務者の側において立証することができなければ、債務者は債務不履行責任を免れることができない


正解は、( ○ )です。

 

問題2)詐害行為取消権の立証責任に関しては、債務者の悪意と同様に受益者および転得者側の悪意についても債権者側にある


正解は、( × )です。

債務者と転得者側の悪意に関しては詐害行為を取消すことに利益のある債権者が立証し、受益者の悪意に関しては債権者を害することを知らなかったことを証明することで受益者自身に利益があるので受益者に立証責任があります。(→条文424条ただし書参照)

424条

❶ 債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした法律行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者(受益者)がその行為の時において債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。

まとめ

「立証責任」は、パターンをひとつずつ覚えるのではなく、立証責任を果たさなくてはいけないのは立証することによって利益を受ける側が証明するのが原則だとだけ覚えておきましょう

これだけ覚えていれば、引っ掛け問題に惑わされることはありません。

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