こんばんは。 行政書士挑戦中のひねもすのたり管理人のブソンです。→合格しました!
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昨年の2019年に、僕は宅建試験に合格しました。
宅建試験に合格後、法律の勉強をするためにそのまま行政書士試験に挑戦する人は多いと思います。
行政書士試験のあとは、社労士や司法書士に挑戦する人が多いぞ!
宅建試験を経て行政書士試験の勉強をするにあたって注意したいことは、宅建試験の方法をそのままなぞって勉強してはいけないということです。
宅建試験には宅建試験の勉強の仕方が、行政書士試験には行政書士試験の勉強の仕方があります。
宅建試験と行政書士試験には大きな違いがあります。
今回は、その違いについてです。
宅建試験の範囲
宅建試験は、宅地建物取引業に関する実用的な知識を有するかどうかを判定することに合格基準が置かれています。
(1)土地の形質、地積、地目及び種別並びに建物の形質、構造及び種別に関すること
(2)土地及び建物についての権利及び権利の変動に関する法令に関すること
(3)土地及び建物についての法令上の制限に関すること
(4)宅地及び建物についての税に関する法令に関すること
(5)宅地及び建物の需給に関する法令及び実務に関すること
(6)宅地及び建物の価格の評定に関すること
(7)宅地建物取引業法及び同法の関係法令に関すること
現に宅地建物取引業に従事している方は、登録講習を修了することで(1)と(5)は免除されます。
宅建試験の科目分野は大きく次の4つに分かれています。
すべて4肢択一で、配点はどの科目で得点しても1問1点で50点です。
1. 権利関係(14点)
2. 宅建業法(20点)
3. 法令上の制限(8点)
4. 税金その他(8点)※登録講習修了者はその他の5点免除
宅建試験には科目ごとの足切りはないため、難しい権利関係で得点しても、比較的難易度の低い宅建業法で得点しても同じ1点です。
合格基準点は毎回異なりますが、上位15%に入る(35点以上の得点)ことが目安になっています。
宅建業法を中心に勉強し、権利関係は半分得点することを目標にすればいいでしょう。
行政書士試験の範囲
行政書士試験は、行政書士の業務に関し必要な知識及び能力を有するかが合格基準になっています。
行政書士の業務に関し必要な法令等
憲法、行政法(行政法の一般的な法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法及び地方自治法を中心とする)、民法、商法及び基礎法学の中からそれぞれ出題し、法令については、試験を実施する日の属する年度の4月1日現在施行されている法令に関して出題
行政書士の業務に関連する一般知識等
政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護、文章理解
行政書士試験の科目分野は大きく次の4つに分かれています。
配点は出題形式によって異なります(5肢択一各4点・多肢選択各8点・記述各20点)。
1. 基礎法学(8点)
2. 憲法(20点/5肢択一・8点/多肢選択)
3. 行政法(76点/5肢択一・16点/多肢選択・20点/記述)
4. 民法(36点/5肢択一・40点/記述)
5. 商法(4点/5肢択一)
6. 会社法(16点/5肢択一)
7. 一般知識(56点/5肢択一)
行政書士試験には科目ごとに足切り(法令等科目で122点以上・一般知識等科目で24点以上)があります。
全体で180点以上取ることができれば合格です。
行政法と民法を中心に勉強し、あとは一般知識の足切り回避を目標にして勉強をすればいいでしょう。
宅建試験と行政書士試験の違い
行政書士試験と宅建試験の問題自体の難易度は、そこまで大きな差はないと思います。
これは試験時間と出題数の関係を見てみるとよくわかります。
宅建試験の試験時間は120分で出題数は50問、行政書士試験の試験時間は150分で出題数は60問です。
宅建試験の1問あたりの時間は2.4分、行政書士試験の1問あたりの時間数は3分です。
宅建試験は4択、行政書士試験は5択なので、1肢あたりに与えられている時間はまったく同じ36秒になります。
行政書士試験には択一以外にも多肢選択や記述があるので数字通りとはいかないですが、1肢あたりは同じ時間を基準にしていると考えてもいいでしょう。
4択から5択になったからといって難易度が25%も高くなるわけではありません。
では、行政書士試験と宅建試験の難易度の差とは何でしょうか。
それは、試験範囲の広さです。
上記で示したように行政書士試験の方が科目数も多く、それぞれの範囲も広くなっています。
合格までの標準的な勉強時間の目安(宅建試験400時間・行政書士試験は800時間)をみてもよくわかります。
この勉強時間は問題や内容の難しさの差ではなく、ただ単に試験範囲の広さを反映しているものだと思います。
僕の体感ですが、行政書士の方が3倍くらい試験範囲が広いと思います。
一つ覚えておいて欲しいことは、過去問題の重要度は試験範囲の広さによって変化することです。
宅建試験からステップアップして行政書士試験に挑戦している方はこのことをしっかりと覚えておいてください。
試験範囲の広さが、宅建試験と行政書士試験の勉強方法の違いに繋がってきます。
試験範囲全体に対する過去問のカバー率
宅建試験
宅建試験は、10年分の過去問題を完璧に仕上げていれば確実に合格できます。
理由は、試験範囲に対する10年分の過去問題のカバー率が高いからです。
宅建試験では、試験範囲の中から50問が出題されます。
たとえば、毎年試験範囲全体の10%が出題されると仮定すると、過去問題10年分で試験範囲全体の100%をカバーすることができます。
もちろん重複などがありますので計算通りとは行きませんが、近い数字が期待できるはずです。
宅建試験で10年分の過去問題の反復が最重要と言われているのはこのためです。
直前模試や予想模試も大切ですが、過去問題を12年分まで遡ることができればさらにカバー率を上げることができるでしょう。
宅建試験は、10年分の過去問題を完璧に仕上げることを目標にしてください。
ただし、2020年には民法改正があります。
2020年からしばらくの間、権利関係は改正民法部分からの出題がメインになるでしょう。
権利関係については、過去問だけに頼らず、民法改正部分をしっかりと勉強するようしましょう。
わしは12年分の過去問題をきっちりと仕上げたぞ!
行政書士試験
行政書士試験では、毎年試験範囲の中から60問が出題されます。
宅建試験と同じように毎年試験範囲全体の10%が出題され、試験範囲を宅建試験の3倍だと仮定します。
すると試験範囲全体に対しての過去問題10年分のカバー率は、、、33.3%にしかなりません。
100%をカバーしたいなら30年分の過去問をする必要があります。
宅建より試験範囲が広いので、全体の5%しか出題されないと仮定するとさらにカバー率が下がり、10年分の過去問題では試験範囲全体の17%しかカバーできないことになります。
行政書士試験では、試験範囲に対する10年分の過去問題のカバー率はかなり低いことになります。
試験範囲全体に対する10年分の過去問題のカバー率、これが宅建試験と行政書士試験の大きな違いです。
行政書士試験では10年分の過去問題だけを繰り返し解くことは得策だとは思えません。
過去に出題された問題の前後の条文や判例、まだ出題されていない論点にまで広く手を伸ばしておかないと合格は厳しいです。
けっして過去問題を軽視していいという意味ではありません。
過去問題は誰にでも平等に与えられています。試験までにすべて解けるようになっていて当たり前です。
10年分の過去問題を完璧に仕上げたことを前提にした上で、より多くの問題に触れ、その周辺知識や角度の違う考え方に触れることを意識しながら勉強していくべきです。
10年分の過去問を中心に、範囲を少しずつ広げながら勉強を進めるのじゃ!
まとめ
以上、宅建試験と行政書士試験の大きな違いについてでした。
どんな資格の勉強をするにしても、試験範囲の広さによって過去問題の重要度は変化することを覚えておいて下さい。
宅建試験は10年分の過去問の中から出題される可能性が高く、行政書士試験は10年分の過去問以外の論点が出題されやすいことを頭の片隅に置いておきましょう。
僕は行政書士試験の合格者ではないので、上記の比較はあくまで僕が勉強してきて感じたことの一つです。
合格して証明することができればいいなと思っています。
宅建や行政書士の勉強をしている方、一緒に頑張っていきましょう。