
行政書士試験には、「基礎知識(一般知識)」という科目分野があります。
予備校や通信講座ではカリキュラムの一部として学習が進められますが、独学で学ぶ人にとっては、どこまで勉強すれば良いのか分かりづらく、悩むことも多いかもしれません。
僕は、2020年の行政書士試験に独学で挑戦し、結果は216点でした。
そのうち基礎知識(一般知識)では、14問中12問(政経社6問/情報通信・個人情報保護3問/文章理解3問の計48点)を正答できました。
基礎知識(一般知識)には、一般知識(政経社)、行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令、情報通信・個人情報保護、文章理解の4つがあり、しかも足切り(56点中24点以上)が設定されています。
行政書士試験を受験する人は、足切りを回避できるかどうか、とても不安になると思います。
この記事では、独学で行政書士試験を目指す方に向けて、基礎知識(一般知識)の勉強の進め方をわかりやすくまとめています。

2024年度から「行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令」が追加されています!
🎯 配点は全体の18.6%
まずは、基礎知識(一般知識)の配点について確認しておきましょう。
基礎知識(一般知識)の配点は、政経社が7問(28点)、情報公開・個人情報保護が4問(16点)、文章理解が3問(12点)の合計56点です(300点満点中)。

出題問題数は年度によって多少前後します!
年度によって出題数に若干の変動はありますが、おおよそ全体の約19%を占めます。
全体の約20%近くの配点があり、24点以上(6問以上)取らなければ足切りで不合格になってしまうため、必ず対策する必要がなります。


基礎知識(一般知識)のうち、情報通信・個人情報保護と文章理解は比較的対策しやすいですが、政経社の対策はかなり困難です。
直近の出来事などの時事問題も出題されることもあり、あまりに範囲が広いからです。
政経社に関してはいくら時間を割いても満足な勉強をすることはできません。
政経社の勉強はしなくてもいい、という人もたくさんいます。
そう言われても不安なので、最低限の勉強はしっかりとしておきたい方もいると思います。
僕も、結構な時間をかけて一通りの勉強しましたが、そこから一肢も出題されることはなく、本試験終了後、時間の無駄だったと実感しました。
おそらく、合格者のほとんどの人がそのような感想を持っていると思います。
基礎知識(一般知識)の政経社の勉強に過去問や模試以外の時間をかけることは時間と労力の無駄です。
どんなに勉強したとしてもその中から出題される可能性はほとんどないでしょう。
基礎知識(一般知識)対策は、情報通信・個人情報保護と文章理解の7問で足切りを回避できるよう努めることが一番効果的です。

政経社の勉強は、砂漠に水を撒くようなものです!
📊 過去問だけで正答できる問題数は?
どんな資格試験もまずは過去問の克服です。これが基本的な勉強方法です。
基礎知識(一般知識)では、過去問題だけで正答できる問題数はほとんどありません。
情報通信・個人情報保護で1問正答できるかどうかだと思います。
文章理解も過去問と同じ問題は出題されませんが、こちらはある程度、解法が確立されています。
過去問を文章理解を何年分か解いてみて、3問中2問以上正答できるのであれば、文章理解の対策の必要はとくにありません。
基礎知識(一般知識)の対策は、情報通信・個人情報保護の過去問を完璧に仕上げることから始めましょう。
その上で、文章理解が苦手な方は対策を講じていきましょう。
また、基礎知識(一般知識)には、2024年度の試験から「行政書士法」が新しく加わりました。
まだどんなレベルの問題が出るか統計が取れていないので、予想問題なので出題される可能性の高そうな条文を確認しておきましょう。
何度も言うようですが、政経社の対策は必要はありません。
政経社に関しては、過去問でどのような分野からどのような問題が出題されているのか出題傾向を確認をし、模試で出題された問題の復習だけしておきましょう。

📚 おすすめの教材と進め方
行政書士の一般知識で点数を取るために必要な教材です。
まずは、情報通信・個人情報保護の過去問を完璧に仕上げましょう。
勉強の開始タイミングは、3大法令を一通り終えた頃、8月からで十分間に合うでしょう。
- 📦 使用する教材
- 📘 合格革命 肢別過去問集(一問一答)
- 📗 ウォーク問 過去問題集(5肢択一)
- 📙 出るとこ千問ノック(一問一答)
- 🧪 模試(市販模試・公開模試)
- 📖 六法
📘 勉強開始は8月から!まずは情報通信・個人情報保護の過去問を完璧に!
基礎知識(一般知識)の勉強は、情報通信・個人情報保護から始めましょう。
テキストを利用せず、いきなり過去問から始めて大丈夫です。
一問一答の「肢別過去問集」を使用しましょう。
「肢別過去問集」には、昨年までの本試験の問題が掲載されています。
とても基礎的な内容になっているので、日々の勉強のベースにし、試験直前まで反復して使用するのがいいでしょう。
この問題集に出てくる条文や論点は、すべて完璧に答えられるようしておきましょう。
「肢別過去問集」が終われば、「ウォーク問 ❷ 基礎知識編」や市販の「年度別過去問題集」などで本試験に出題された5肢択一の問題を解きましょう。
とくに文章問題をしっかりと解いて、どれくらい正答できそうかを確認しておきしましょう。
政経社はどんな分野のどのような問題が出題されてきたかを確認する程度でいいでしょう。
情報通信・個人情報保護の条文や論点は完璧に抑えておくようにしましょう。

以上が、基礎知識(一般知識)の情報通信・個人情報保護と文章理解で6問正答するために最低限しておかなければいけないことです。
過去問を解いて情報通信・個人情報保護を完璧に仕上げること、文章理解でどのくらい正答できるかを把握しておくことが重要です。
過去問で点数が取れなかった人や政経社が不安なのでどうしても勉強しておきたい人は、以下の勉強方法をおすすめします。
📕 情報通信・個人情報保護の対策はオールインワンテキストが最適。政経社は広く浅く学び、文章理解は公務員試験の過去問を利用する!
📂 情報通信・個人情報保護
情報通信・個人情報保護の対策には、オールインワンのテキストが最適です。
ボリュームが少なく、過去問中心に構成されているので、基本知識を効率よく身につけることができます。
オールインワンテキストには、政経社や文章理解の解法も簡潔にまとめられています。
情報公開法、個人情報保護法、行政機関個人情報保護法、公文書管理法といった主要な法令は、必ず過去問を中心に理解を深めておきましょう。
📰 政経社
政経社の対策には「ニュース検定公式テキスト」がベストでしょう。
違う検定のテキストですが、読みやすくて内容も良く、時事問題の対策にも有効でしょう。
新聞を読む感覚で毎日少しずつ読んでみるといいと思います。
実際に日経新聞を毎日読んでおくことも、時事問題対策になるでしょう。
証券会社に口座を持っていれば、日経新聞を無料で閲覧できる場合があります。

📖 文章理解
文章理解の対策には、公務員試験の問題集を活用しましょう。
文章理解には「要旨把握」「空欄補充」「並び替え」といった設問形式がありますが、すべてに共通する読み取りのテクニックがあります。
公務員試験の問題集は行政書士試験より難易度が高いので、それに慣れておけば本試験で十分に対応できます。
1日1問を目標に、読み慣れる習慣を付けていきましょう。

過去問で点数が取れなかった人や政経社が不安なのでどうしても勉強しておきたい人は、以上の勉強をしっかりとしておきましょう。
ここからは、市販模試や公開模試を活用して、実践レベルの応用力を鍛えていく段階に入ります。
ここからは市販模試や公開模試などを使用して、実践レベルで応用力を上げていくことになります。
市販模試と公開模試はどちらを使用してもそこまで大差は構いません。
会場で本試験と同じ状況で受験したい方や、受験スコアを知りたい方は公開模試も受験しましょう。
出版社や予備校で出題タイプが違うので、すればするほどいろいろなパターンに慣れることができます。
模試で間違えた問題はしっかりと見直しをしましょう。
これが実力アップに一番効果的です。
模試から同じ問題が出題される可能性はかなり低いですが、一度触れた問題は復習してできるようにしておくと安心材料になります。
また、「 出るとこ千問ノック」をレパートリーに追加してもいいでしょう。
「千問ノック」は、過去問ではない一問一答の予想問題集です。
問題数は多くないですが、政経社と情報通信・個人情報保護が数ページずつ掲載されています。
🏁 まとめ
行政書士試験の勉強方法はさまざまで、挑戦した人の数だけの勉強方法があります。
勉強方法に正解や不正解はありませんが、唯一言えることは合格者の勉強方法は正しいということです。
合格者の勉強方法で自分に合っていると思うものはできるだけ試して真似をしてみるようにしましょう。
基礎知識(一般知識)には足切りが設定されているので、対策が必ず必要になります。
情報通信・個人情報保護は過去問を中心に、文章理解は必ず過去問が解けるかを確認して勉強方法を決めましょう。
政経社の対策は必要ありません。
僕も一通りの対策をしましたが、効果があったとは自信を持って言えません。
どうしても政経社の対策をしておきたいという人は、毎日10分だけ時間を割いて勉強するようにしましょう。
行政書士試験は、まず3大法令をしっかりと仕上げることが先決です。
- 📅 基礎知識(一般知識)は8月以降からでも間に合う
- 🧠 情報通信・個人情報保護を中心に勉強を進める
- 📝 文章理解は1日1問を習慣に
- 🚫 政経社の対策は必要最小限でOK
- 📜 行政書士法は予想問題から周辺知識を付ける
基礎知識(一般知識)には多くの時間を費やさないようにし、情報公開・個人情報保護と文章理解で6問の正答できるよう努めることが一番効率的です。
