
行政書士試験は、法律の基礎から応用までを幅広く問われる国家資格です。
「独学で合格できる?」「どれくらい勉強すればいい?」と不安に思っていませんか?
この記事では、行政書士試験の難易度や合格率、僕が実際に使ったテキストや問題集、効率的な勉強スケジュールまで詳しく紹介します。
独学で一発合格した僕の体験をもとに、これから行政書士を目指す方にとって役立つ内容をまとめました。
行政書士試験は、社会人でも独学で取得できる資格です。
🎓 難易度
難易度の目安 かなり難しい ★★★★★|★
行政書士試験の最近5年間の合格率は、約12.1%です。
📅 年度 | 🧾 受験者数 | 🎯 合格率 |
---|---|---|
2024年 | 47,785人 | 12.9% |
2023年 | 46,991人 | 13.9% |
2022年 | 47,850人 | 12.1% |
2021年 | 47,870人 | 11.2% |
2020年 | 41,681人 | 10.7% |
難易度は「かなり難しい」です。
行政書士試験は、合格基準点は180点以上の絶対評価ですが、合格率は毎年10〜13%台で推移しています。
記述問題で点数を調整し、合格率を10%前後で推移させたい意図があるのでしょう。
まずは過去問を完璧にすることが重要で、そこからどれだけ知識を積み重ねていけるかが合格の鍵になります。

社会人が独学で合格できるのは、このレベルまでかもしれません!
📚 テキストと問題集
📘 テキスト
行政書士のテキストはたくさん出版されていますが、基本的な内容はどれも共通しています。
選ぶときのポイントは、「オールインワンか専門書か」「フルカラーか2色刷りか」「イラストの量」など。長く使い続けるものなので、自分にとって読みやすいかどうかを重視しましょう。
書店で実際に手にとってみて、続けられそうな1冊を選んでください。

僕が使用したのは、憲法・民法・行政法の「よくわかるシリーズ」と、行政書士試験向けの商法・会社法用のテキスト、そして判例六法です。
「よくわかるシリーズ」は、図表は少なめですが、文章中心の構成なので、講義を受けているような感覚で読み進められました。2色刷りなので集中できます。
民法は少し厚めで、憲法や行政法は特にちょうどいいボリューム感です。始めて勉強を始める方にとっては最適な専門書だと思います。
憲法、民法、行政法はこの3冊で十分に基礎を固めることができます。
商法・会社法には「行政書士 しっかりわかる講義生中継」を使用しました。
内容と構成があまりよくありませんが、行政書士試験で最低限の点を取る知識は身に付けることができます。
比較的薄いので、商法・会社法は捨てたくないけどそこまで時間を割くことはできない、という方には最適なテキストだと思います。
また、行政書士試験では、手元に「六法」があると便利です。条文や判例をすぐ確認できるので、テキストや問題集の理解も深まります。
基本的に、テキストは六法の条文や判例をわかりやすく噛み砕いたものだと考えていいでしょう。
📗 問題集
問題集には「過去問題集」と「その他の問題集」があります。
過去問題集には「一問一答」「分野別」「年度別」の3種類があります。
効率よく進めるなら、「一問一答 → 分野別 → 年度別」の順がおすすめです。
本試験の過去問は、行政書士試験研究センターの公式サイトからもダウンロードできます。
行政法以外の科目では、過去問と同じ問題が出ることはあまりないため、過去問以外の問題集で幅広くカバーすることが重要です。
時間に余裕がある人は、一問一答の問題集も追加しましょう。
また、民法と行政法では記述対策の問題集も必要になります。できるだけたくさんの問題が載っている問題集を選びましょう。
過去問や問題集を仕上げたタイミングで模試に入りましょう。
市販模試や公開模試のどちらでもいいですが、初見の問題をたくさん数をこなして慣れておきましょう。

⏱️ 勉強時間と方法
⏱️ 勉強時間の目安: 約650時間
行政書士試験では、法律科目に加えて政経社や文章理解といった一般知識も出題されるため、幅広い内容をカバーする必要があります。
🎯 合格ライン
- 法令等科目で 122点以上
- 一般知識科目で 24点以上
- 総得点が 180点以上であること(300点満点中)
📖 試験科目 | 📌 内容等 |
---|---|
行政書士の業務に関し必要な法令等(出題数 46題) | 憲法、行政法(行政法の一般的な法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法および地方自治法を中心)、 民法、商法、基礎法学から出題。 |
行政書士の業務に関し必要な基礎知識(出題数 14題) ⚠️ 2024年度試験から適用 |
一般知識、行政書士法などの業務関連法令、情報通信、個人情報保護、文章理解などから出題。 |

試験科目は、憲法、行政法、民法、商法会社法、基礎法学、一般知識に分かれています!
650時間という時間は、1日2時間ずつ勉強を続けた場合、約10カ月半かかります。もし1日3時間のペースであれば、7カ月と少しほどになります。
スケジュールに余裕を持たせ、長期的な計画を立てることが合格への第一歩になります。
試験日の10カ月半前から勉強を開始しましょう。

しっかりと計画を立てれば、あとはそれに沿って進めるだけです!
📖 12月半ば〜4月(3大法令・テキスト)
⏱️ 時間の目安:210時間
行政書士試験の勉強は、まず憲法・民法・行政法の「3大法令」からスタートしてください。
たくさんの暗記科目を後ろに残すのは得策ではないので、配点とボリュームが少ない憲法と民法を先に進めましょう。
順番としては、憲法 = 民法 → 行政法の流れがおすすめです。民法は理解重視、憲法と行政法は暗記中心という性質を活かして、効率よくバランスよく進めていきましょう。

民法の勉強は開始すれば試験日まで継続することになります!
🎯 テキストを1日に2時間ずつ
- 🌀 憲法・民法をはじめの3カ月で2周、次の2カ月で行政法を2周
- 📖 最初はテキストをざっと読み、全体像をつかむ
- 🔁 ある程度内容を把握したら、詳細部分まで丁寧に読む
- 📌 1日30ページ程度のペースで、憲法と民法を並行して進める
行政法は少し後から始める形になりますが、後回しにして問題はありません。まずは憲法と民法の基礎固めを優先してください。
長期的な勉強になるので、この時期でいくら頭に詰め込んでも必ず忘れます。基本的な知識を付けることに重点を置いて、過去問で細かい知識や周辺知識を補完していく方法が最善です。
あとは苦手意識をできるだけ取り除いておくことも大切です。
1週間の中にしっかり休む日を作りましょう。暗記は「休むこと」で脳に定着します。

📘 3月〜7月(3大法令・過去問+その他問題集)
⏱️ 時間の目安:210時間
3大法令(憲法・民法・行政法)のテキストをそれぞれ2周したら、次は問題集に入りましょう。憲法と民法は先にテキストを読み終えているはずなので、行政法のテキストに入るタイミングで先に問題集に入っておきましょう。
憲法・行政法は「肢別過去問集」、民法は「スーパー過去問ゼミ」から進めるのがおすすめです。
肢別過去問集は一問一答形式なので、ウォーク問(5肢択一)に入る前に終えておくととても効果的です。
🎯 7月末までに3大法令の過去問を完璧に仕上げる
- 📖 肢別過去問集で、選択肢ごとにしっかり正誤を判断する
- 📘 スーパー過去問ゼミは条文・判例の確認に役立てる
- 🔍 間違えた問題は解説を読んで、テキストに戻って復習
テキストをいくら読み込んでも肢別過去問集やスーパー過去問ゼミの正解率はかなり低いと思いますが、心配ありません。
間違えた問題の解説をしっかりと読み、理解できなければテキストに戻って該当箇所を確認するようにしましょう。
出題された条文や判例を丁寧に六法で確認するようにしましょう。
スーパー過去問ゼミや肢別問題集は、一度解いたら終わりではなく、直前期まで何度も繰り返して定着させてください。余裕があれば、千問ノックなどの予想問題集をスキマ時間に活用するのも効果的です。
この時期も、週に1日はしっかりと休むようにして、勉強を長く継続できるよう工夫しましょう。

📗 7月〜8月(基礎法学・商法会社法・一般知識・記述対策)
⏱️ 時間の目安:90時間
3大法令の過去問をひと通り終えたら、基礎法学、商法・会社法、一般知識の対策に入りましょう。
この時期は「基礎法学・商法会社法・一般知識・記述対策」を進めながら、3大法令の復習も並行して続けるようにしましょう。
🎯 8月末までに全科目に一通り触れる
- 📙 一般知識(文章理解)は過去問だけで十分。苦手なら公務員対策本を活用
- 📰 一般知識(政経社)は最低限の理解で。ニュース検定テキストで時事対策しても◎
- 📝 記述対策は、記述用問題集+六法で仕上げていく
「基礎法学」「商法会社法」「一般知識」は、テキストが必要と感じれば、オールインワンテキストがボリューム的に最適です(どのオールインワンテキストでも大丈夫です)。
個人情報保護法や行政書士法などの法令は、六法などで条文学習をしっかりとしておきましょう。
「一般知識(文章理解)」は、まず過去問を解いて下さい。
コンスタントに2問以上を正答できる場合は、とくに文章理解の対策の必要はないと思います。
それでも不安なら、公務員試験用の文章理解の問題集を1冊購入して、1日1問ずつ解くようにしましょう。
「一般知識(政経社)」の対策はする必要はありません。
過去問を一通り解いて、どんな問題がどのように出題されるのか把握できれば十分です。
もし心配なら、ニュース検定公式テキストなどを読んで時事力を身に付けておきましょう。
「記述対策」(行政法・民法)は、記述問題集を購入しましょう。
細かく条文や判例知識を聞かれるので、六法で丁寧に条文暗記を始めましょう。
同じ論点は出題されないので過去問をする必要はないですが、論点や出題形式は確認しておきましょう。
3大法令の勉強は止めないでください。「基礎法学・商法会社法・一般知識・記述対策」の勉強は、3大法令の勉強に追加してするようにしましょう。
8月末までに、すべての科目分野に一度触れましょう。
ここまで来てやっと行政書士試験勉強のスタートです。
もし3大法令の勉強が進んでない場合は、「基礎法学・商法会社法・一般知識・記述対策」に入る前に3大法令の勉強を仕上げることに注力して下さい。

📘 9月〜10月(模試)
⏱️ 時間の目安:120時間
9月に入ったら、いよいよ模試の段階です。本試験と同じ形式・時間で演習しながら、本番の雰囲気に慣れていきましょう。
市販の模試でも、公開模試でも構いません。日程を決めて、定期的に取り組むのがポイントです。
🎯 週に1回、模試を1回分(復習をしっかりと)
- ⏱️ 本番と同じく180分。途中で休憩を入れず集中して解く
- 📋 終わったら、間違えた問題をしっかり分析・復習する
- 🧭 解答順や時間配分を自分なりに調整してみる
模試は本試験よりも難しく、出題範囲も広めに設定されています。点数に一喜一憂せず、復習を通して弱点を見つけていくことが大切です。
答え合わせをして、間違えた問題や迷って解答した問題はしっかりと確認しておきましょう。
模試の復習には解答するのと同じくらい時間がかかると思いますが、しっかりとしておくようにして下さい。
📌 行政書士試験の出題順
- ⚖️ 基礎法学・憲法(7問)
- 📜 行政法(19問)
- 📘 民法(9問)
- 🏢 商法・会社法(5問)
- 📝 多肢選択(3問)
- ✍️ 記述式(3問)
- 🧠 一般知識(14問)
時間配分や解答順は人によって最適解が異なります。本番前にいくつかのパターンを試し、自分に合った解答スタイルを固めておきましょう。

📗 11月(年度別問題集・総復習)
⏱️ 時間の目安:20時間
試験直前の11月は、これまでの学習を総ざらいする期間です。年度別問題集で本試験の出題形式に慣れつつ、重要な条文や論点をしっかり確認しましょう。
🎯 年度別問題集を3年分
- 📝 本試験形式に戻し、過去3年分を本番通りの時間で解く
- 📖 解説を読みながら、抜けていた知識を補完する
- 📌 改正民法や直近の法改正部分を中心に復習する
過去問は、「肢別過去問集」「ウォーク問」でしっかりとこなしてきたはずなので、ほとんどの問題は正答できるはずです。
ここでの目的は「知識の最終確認」です。点数はあまり気にせず、ミスの傾向や苦手なテーマを丁寧にチェックしておきましょう。

📖 試験当日
行政書士試験は午後からスタートします。当日はとくに勉強しなくても大丈夫です。
試験会場にテキストや問題集を持っていく必要もありません。
ただ、遅刻や忘れ物がないよう、試験開始時間や会場、持ち物などを受験票でしっかり確認して、前日に準備しておきましょう。
🎯 本番では焦らず、自分のリズムで解く
- 🧘♀️ 朝は軽めにストレッチして、リラックスして過ごす
- 📋 前日に準備した持ち物と試験会場の確認を再チェック
- 📝 自信のある科目から解答を始めるのもOK
緊張してしまったとしても、これまでの積み重ねがしっかり支えてくれます。当日は自分の力を信じて、最後まで諦めずに取り組んでください。

🏁 まとめ
行政書士試験の難易度は「かなり難しい」★★★★★|★
勉強時間の目安は約650時間です。
試験日の10カ月半前から勉強を始めましょう。
📌 合格への近道
- 🗓️ 計画的に勉強を進めること
- ⏰ 余裕のあるスケジュールを立てること
焦って詰め込むのではなく、毎日少しずつ積み重ねていくことが大切です。
それが、合格への一番の近道になります。
