こんばんは。 1級カラーコーディネーターのひねもすのたり管理人のブソンです。
「ひねもすのたり 独学で!資格ブログ」は、独学で資格取得を目指していくブログです。
カラーコーディネーター検定レッスンでは、スタンダードクラスに合格するためのポイントを解説していきます。
今回は、Chapter2「色を自在に操る方法」から、PCCS(日本色研配色体系)についてです。
目 次
Chapter1「生活と色の効用」
●誘目性・視認性・識別性 ●力量性・活動性・評価性 ●物体色・光源色
Chapter2「色を自在に操る方法」
●色の三属性・色立体 ●表色系・カラーオーダーシステム ●系統色名・慣用色名 ●マンセル表色系 ●PCCS
Chapter3「きれいな配色を作る」
●色相・明度・彩度 ●有彩色同士の配色 ●多色配列・面積バランス
Chapter4「色を美しく見せる光のマジック」
●反射・透過・吸収 ●混色 ●分散・散乱・干渉 ●演色性・色の恒常性
Chapter5「背景色を上手に使って色の見えを変えてみよう」
●眼の構造 ●眼から脳へ ●対比効果 ●同化効果 ●膨張収縮感・軽重感・寒暖感
Chapter6「色の売り上げをアップするために」
公式テキスト
その他テキスト&問題集
Chapter2「色を自在に操る方法」
PCCS(日本色研配色体系)は、色彩調和の問題を体系的に解決することを目的に開発されたカラーオーダーシステムです。
PCCSの特徴は、色の三属性(色相・明度・彩度)を基本とし、色相とトーンによって物体表面の色を体系的に表示するヒューアンドトーンシステムだという点です。
トーンとは、明度と彩度を掛け合わせたものじゃ!
色立体
PCCSの色立体は、色相(hue:ヒュー)、明度(lightness:ライトネス)、彩度(saturation:サチュレーション)の三属性を尺度として構成されています。
色立体の中心にある軸を無彩色の軸といい、明度を表しています。
無彩色の軸に対して垂直に交わる円周は、角度ごとにそれぞれ異なった色相を表しています。
彩度は無彩色の軸からの各色相の純色方向への距離で表され、無彩色の軸から離れるほど高彩度になっています。
PCCSの色立体は、すべての色相の純色の最高彩度が9sと決められているため、上から見るときれいな正円になります。
けれど、色相ごとに純色の明度は異なるため、横から見た色立体は非対称で歪な形になります。
三属性
PCCSの三属性の、色相(hue:ヒュー)、明度(lightness:ライトネス)、彩度(saturation:サチュレーション)は、それぞれ知覚的等歩度(見た目に均等)になるよう尺度化されています。
色相
PCCSの色相(hue:ヒュー)は「h 」で表します。
もっとも赤らしい赤、黄色らしい黄色、緑らしい緑、青らしい青のように混じり気のない純粋な色相を心理四原色と言います。
PCCSは心理四原色を基本にして12種類の基本色相を決め、その中間色を含めて24色相に分割しています。
色相の表示には、色相番号と色相名を使用します。
たとえば、「紫みの赤」は色相番号「1」と色相名「pR(purple red)」を使用して「1 : pR」と表示します。
PCCSの色相は、合計24色相じゃ!
心理四原色の色相は、赤(2 : R)、黄(8 : Y)、緑(12 : G)、青(18 : G)の4つです。
また、色相環の反対位置にある2つの色相は心理補色と呼ばれます。
明度
PCCSの明度(lightness:ライトネス)は「l 」で表します。
光を100%吸収する理想的な黒の明度を0、光を100%反射する理想的な白の明度を10とし、その間に知覚的等間隔になるよう0.5ステップずつの数値で明度を表示しています。
明度を分類するときは、1.5〜4.0を低明度、4.5〜6.5を中明度、7.0〜9.5を高明度としています。
彩度
PCCSの彩度(saturation:サチュレーション)は「s 」で表します。
彩度は、各色相の理想的な純色の彩度を10と定義していますが、実在する色料で実現しうる高彩度な色を純色とし、その彩度を9、無彩色の彩度を0としています。
各色相でもっとも鮮やかな色の彩度は異なりますが、それぞれ9と固定しているのが特徴です。
PCCSの彩度は他の表色系と区別するために、1〜9までの数字の後ろに「s」をつけて表示します。
彩度を分類するときは、1s〜3sを低彩度、4s〜6sを中彩度、7s〜9sを高彩度としています。
トーン
日常で色を見るときは、三属性(色相・明度・彩度)で色を判断するというより、「色味の質」と「濃淡や清濁の状態」の2つの要素で直感的に捉えています。
をヒューアンドトーンシステムでは、「濃淡や清濁の状態」つまり明度と彩度の複合概念をトーン(色調)と呼びます。
トーンが同じ色は、どの色相でも共通した色の調子と共通したイメージを持つことになります。
トーンには、それぞれ略号とイメージ語があります。
トーンが同じ色は共通した色の調子とイメージを持っているので、トーンは色によるイメージコントロールの手がかりとして使用されています。
PCCSトーン図では、明度は上部になるほど高明度になり、下部になるほど低明度のトーンとなります。
また、同じトーンでは等しい彩度を持ち、無彩色から離れたトーンほど高彩度になります。
トーン図、トーンのイメージ語はしっかりと覚えるのじゃ!
表示方法
PCCSの色表記は、「トーン記号」と「PCCS記号」の2種類があります。
トーン記号による色表示
有彩色は、「トーン記号」と「色相番号」を連記します。
たとえば、ビビッドレッド(鮮やかな赤)であれば、「ビビッド」のトーン記号「v」と「赤」の色相番号「2」を連記して「v2」となります。
無彩色は、3つの色相名「W(ホワイト)」「Gy(グレイ)」「Bk(ブラック)」の略号の後ろに明度値をハイフンでつなぎます。
たとえば、ライトグレイ(スモーキーなグレイ)であれば、色相名「Gy」と明度値「7.5」をハイフンでつないで「Gy-7.5」となります。
PCCS記号による色表示
有彩色については、「色相名」「明度値」「彩度値」の順にハイフンでつないで連記します。
たとえば、ビビッドレッド(鮮やかな赤)であれば、色相名「2 : R」と明度値「4.5」と彩度値「9s」 をハイフンでつないで「2 : R – 4.5 – 9s」となります。
無彩色は、「n(neutral)」と「明度値」をハイフンでつなぎます。
たとえば、ライトグレイ(スモーキーなグレイ)であれば、「n – 7.5」となります
ビビッドレッド(鮮やかな赤) → トーン記号 v2 → PCCS記号 2 : R – 4.5 – 9s
ライトグレイ(スモーキーなグレイ) → トーン記号 Gy-7.5 → PCCS記号 n – 7.5
表記方法は試験に出やすいので、仕組みをしっかり押さえておくのじゃ!
練習問題)日本色彩研究所が1964年に発表したPCCSは、[ ア ]の問題を体系的に解決することを主目的に開発されたカラーオーダーシステムである。PCCSでは、すべての色相で鮮やかさ感がそろうような基準色系列(各色相の代表色)を選定して、PCCSにおける[ イ ] とした。さらに、トーン図で縦に並ぶトーンは等しい彩度に設定されており、[ ウ ]領域には、ライト、ソフト、ダル、ダークの4種のトーンが含まれている。
答え)[ ア ]色彩調和 [ イ ]純色 [ ウ ]中彩度
まとめ
PCCSは、色相(hue:ヒュー)、明度(lightness:ライトネス)、彩度(saturation:サチュレーション)の三属性を尺度として構成されているヒューアンドトーンシステムです。
トーンの概念をしっかり押さえておきましょう。