
行政書士試験には、行政法という最重要科目があります。
予備校や通信講座を利用する方は、それぞれのカリキュラムに沿って学習を進めていけば問題ありませんが、独学で行政書士を目指す方にとっては、使用する教材や勉強の手順、スケジュール管理などに悩むことも多いかもしれません。
僕は2020年の行政書士試験に独学で挑戦しましたが、本試験は216点、そのうち行政法は19問中14問(56点)でした。
行政法は基本的に条文と判例の暗記なので、根気強く勉強すれば誰でも必ず得意分野にすることができます。
この記事では、独学で行政書士試験に挑戦する方のために、行政法の具体的な勉強の進め方を詳しく解説していきます。

勉強を開始した時はとっつきにくいですが、必ず得点源になるので安心してください!
🎯 配点は全体の37%
行政法の配点は、択一式19問(76点)、多肢選択式2問(16点)、記述式1問(20点)の合計112点です(300点満点中)。
これは全体の約37%を占めることになり、行政書士試験において最も重要な科目であることは間違いありません。


行政法は基本的に暗記が中心です。
出題範囲は広いですが、難解な内容は少なく、しっかりと時間をかけて暗記と反復を繰り返せば誰でも得点が伸ばせる分野です。
試験直前でも追い込めば一番点数が上がりやすい科目分野でもあります。
広く基礎的な勉強から開始し、少しずつ覚える量を増やしていくこと、暗記したことを反復して定着させることが一番負担のかからない方法になるでしょう。
📊 過去問だけで正答できる問題数は12問
行政法で得点を伸ばすための最も効果的な方法は、過去問の完璧な仕上げです。
過去問を完璧に仕上げた場合、本試験でどのくらい得点できる可能性があるのでしょうか。
行政法の5肢択一問題では、過去問題だけで正答できる問題数は12問というデータがあります。
📅 年度 | 📚 正答数(19問中) |
---|---|
2015年度(平成27年) | 11問 |
2016年度(平成28年) | 11問 |
2017年度(平成29年) | 13問 |
2018年度(平成30年) | 11問 |
2019年度(令和元年) | 11問 |
2020年度(令和2年) | 15問 |
行政法は、過去問を完璧に理解できれば6割以上は確実に正解できることになります。
多肢選択や記述問題は、過去問と同じ問題は出題されるとは考えにくいので気を付けましょう。
まずはテキストで全体の流れを掴み基本的なことをしっかりと覚えること、次に過去問を繰り返して完璧に解けるようにすること、その上で余力があればその他の問題集を追加するようにしましょう。
行政法は、過去問を完璧に仕上げることがすべてです。

📚 おすすめの教材と勉強の進め方
行政法は、大きく5肢択一と多肢選択、記述の3つに分かれます。
5肢択一対策は夏前まで、夏以降は記述対策に力を入れましょう。
5肢択一と記述対策をしっかりとしていれば、多肢選択の対策は特に必要ありません。
- 📚 必要な教材
- 📘 よくわかる行政法
- 📗 合格革命 肢別過去問集(一問一答)
- 📙 ウォーク問 過去問題集(5肢択一・記述問題)
- 📕 スーパー過去問ゼミ 行政法
- 🖋️ 記述問題集(記述+多肢選択)
- 🧪 模試(市販模試・公開模試)
- 📖 六法

📝 7月末までは5肢択一対策を。過去問は確実に解ける状態を目指そう!
テキストは、自分に合ったものを選びましょう。
オールインワンタイプの合格テキストでも十分対応できますが、暗記しづらいと感じる方は専門書の方が効率的です。
僕がおすすめするテキストは専門書の「よくわかる行政法」です。
行政書士試験や公務員試験に対応したとてもわかりやすく理解しやすいテキストです。
勉強の途中で何度か振り返るタイミングありましたが、その度とてもいいテキストだなと実感することができました。
内容は、公務員試験より行政書士試験寄りになっています。
勉強のし始めはテキストだけに集中し、基礎と全体像を捉えてから問題集に入ると理解がスムーズに進みます。
また、開始タイミングは憲法と民法のテキスト学習を終えた後からでいいでしょう。

📚 過去問と問題集の活用方法
行政法の得点を安定させるためには、まず過去問を完璧に仕上げることが最優先です。
問題集は、大きく「過去問」と「その他の問題集」に分けて考えます。

問題集は、過去問とその他の問題集に分かれます。
過去問には、一問一答、分野別、年度別の種類があります。
3つの中で一番重要なのは、一問一答の問題集です。
理由は、一問一答が解けるようになると分野別や年度別は必ず解けるようになるからです。
過去問は一問一答から始めてください。
僕がおすすめしたい一問一答の過去問は、合格革命の「肢別過去問集」です。
「肢別過去問集」には、昨年までの本試験の問題が抜粋されて掲載されています。
とても基礎的な内容になっているので、日々の勉強のベースにし、試験直前まで反復して使用しましょう。
「肢別過去問集」に出てくる条文や判例は、すべて確実に答えられるようになる状態を目標にしましょう。
それくらい行政書士試験において基礎的な問題集です。

当日まで繰り返し解いてください!
分野別の過去問は、LECの「ウォーク問 過去問題集❶ 法令編」でいいでしょう。
「ウォーク問」には過去10年分のすべての問題が分野別に収録され、「肢別過去問集」に掲載されていない問題も掲載されています。
「肢別過去問集」をしっかりやっていれば、8〜9割は正答することができるはずです。
「ウォーク問」では5肢択一問題(消去法での答えの導き方)や行政書士試験独特の言い回しに慣れることを念頭に置いて、要所要所で解き直すようにしましょう。
行政法は、過去問の焼き回し率がとても高い科目分野です。
過去10年分の過去問に出てくるすべての問題の論点や判例は完璧に抑えておきましょう。

10年分の過去問題を完璧に仕上げること、それがまず最初の目標です!
さらに点数を上げるには過去問以外の問題集で違う角度から理解を深め、その範囲を広げていく必要があります。
過去問を終えた後におすすめしたい問題集は、公務員試験用の「新スーパー過去問ゼミ」です。
ポイントや解説がとてもわかりやすく、公務員試験の過去問を通じて行政法の理解をより深めることができます。
公務員試験は行政書士試験と比べて条文知識より判例知識を多く問われるので、たくさんの判例に触れることがでます。

試験前に必ず実感できます!
公務員試験用の問題集は、行政法を違う角度からより深く理解するには最適な問題集です。
過去問をする前に解いておき、要所要所でポイントや必修問題などを復習するといいでしょう。
ここまでの過程をしっかりとしていれば、本試験で19問中13問は正答できる力が付いているはずです。
この時点で一度、テキストの「よくわかる行政法」に戻ってみてもいいでしょう。
忘れていたり、気付けなかった新しい発見がたくさんあると思います。
📝 8月からは記述対策を!模試で初見の問題にたくさん触れ、幅広い理解と暗記を!
行政法では、記述問題や多肢選択問題の対策も必要になります。
記述や多肢選択の勉強は択一問題の、択一の勉強は記述問題や多肢選択問題のベースアップに繋がります。
記述の問題集は、「みんなが欲しかった! 行政書士の40字記述式問題集」がおすすめです。
冒頭に記述問題の解答の仕方が詳細に書かれていて、問題数も多いので、勉強を始めやすいです。
また、過去問を含んだ多肢選択問題も掲載されていますので、活用しましょう。
この一冊では不安なので、他の問題集を加えたり、市販模試や公開模試などでできるだけたくさんの記述問題に触れておくようにしましょう。

Youtubeの予備校の予想問題などを利用するのもおすすめです!
記述問題は、どれだけたくさんの問題に触れてもそれらの中から出題される確率はかなり低いです。
択一問題を解くときに、解説の条文や判例の言い回しなどにしっかりと目を通して、40字程度にまとめることを意識する癖を付けておきましょう。
行政法の記述問題は、完全に正解できなくてもいいので、部分点を取りに行きましょう。
多肢選択問題は、最初のうちは難しく感じるかもしれませんが、比較的点数の取りやすい問題です。
条文学習と判例学習をしていれば必ず得点源にできますので、日頃から択一問題の論点をしっかりと掴んでおきましょう。
多肢選択問題は、8問中6問の正答を目指しましょう。
ここからは市販模試や公開模試などを使用して、実践レベルで応用力を上げていくことになります。
市販模試と公開模試はどちらを使用してもそこまで大差は構いません。
会場で本試験と同じ状況で受験したい方や、受験スコアを知りたい方は公開模試も受験しましょう。
出版社や予備校で出題タイプが違うので、たくさんの模試を受ければ受けるほどさまざまなパターンに触れることができます。
模試で間違えた問題はしっかりと見直しをして、暗記が不十分な条文にもしっかり目を通しておきましょう。
模試の復習が実力アップに一番効果的です。
本番では初見の問題と対峙することになります。
初見の問題をたくさんこなして対応力を身に付けておきましょう。
また時間に余裕があれば、「一問一答式 出るとこ千問ノック」をレパートリーに追加してもいいでしょう。
「千問ノック」は、過去問ではない一問一答の予想問題集です。
少し変わった問題や重箱の隅を突いたような細かい問題もあるので、優先順位は低めです。
模試や問題集で応用力を高めたあとは、年度別過去問を使って本番形式に慣れておきましょう。
特に直前期(試験1〜2週間前)は、できるだけ本試験と同じ時間・順番・緊張感で年度別過去問に取り組むことが重要です。
目的は、過去問の正答率を上げることではなく、本試験独特の言い回しや時間配分に慣れることです。

試験直前(1週間くらい前から)には、年度別過去問を最新年度から3年分ほどしておきましょう。
予備校の模試から本試験の言い回しに目を戻しておくことが目的です。
年度別過去問は、「肢別過去問」や「ウォーク問」で解答した問題ばかりなので、ほぼ正解できるはずです。
市販模試には付録で直前の年度分の過去問が収録されているものもあり、行政書士試験研究センターのホームページでも直近6年分の過去問をダウンロードすることができます。
行政書士試験研究センターの公開データには、著作権の関係で割愛されている問題や解説がありません。
そのため、市販の年度別過去問集も併用して、解説もないので、別途市販の年度別過去問を購入してもいいと思います。

予備校の模試と本試験では言い回しが異なるので注意が必要です!
🏁 まとめ
行政法は、行政書士試験の中でも最重要科目といえる分野です。
配点も高く、5肢択一だけでなく多肢選択・記述問題も含まれており、300点中112点を占めることになります。
しかし、出題内容の多くが条文や判例の知識に基づいており、過去問とテキストを繰り返すことで必ず得点源にできます。
学習を始めたばかりの頃は広さに圧倒されるかもしれませんが、地道な暗記と反復を積み重ねていけば、確実に得意科目になります。
- 🌀 7月末までは択一問題対策、過去問を完璧に解ける状態に!
- 🔁 過去問は「一問一答 ➔ 分野別 ➔ 年度別」の順番で進める!
- 📝 8月からは記述・多肢選択対策を本格スタート!
- 📚 模試や予想問題で幅広い出題傾向に慣れておく!
独学であっても、正しい教材と正しい順序で学習を進めれば、行政法は誰でも高得点を狙える科目になります。
知識抜けに気を付けて、広く浅く勉強を繰り返していきましょう。
