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色彩検定UC級は、2018年冬期から新設された検定です。
UC級では、色のユニバーサルデザインの基本を学ぶことができます。
色彩検定の中でも難易度は低いので、ポイントを押さえていけば、比較的簡単に合格できます。
「色彩検定UC級 レッスン」では公式テキストに沿って、検定に合格するためのポイントを解説していきます。
では、色彩検定UC級の第7章「色のユニバーサルデザインの進め方」を学習していきましょう。

📚 公式テキスト
📖 目次
🚦 第7章 色のユニバーサルデザインの進め方
🎨 色のユニバーサルデザインの特徴
視覚情報のわかりやすさを左右する要因の一つに、色彩があります。
けれど、色彩の見え方はすべての人が同じとは限りません。
色覚特性を持っているエンドユーザーに確認してもらったり、シュミレーションソフトを使用してみたりという手順を踏むことが、ユニバーサルデザインの視点を持った色彩計画を進めていくで重要になります。
どんな人にも過ごしやすい社会を実現するには、デザインをする側が日々ユニバーサルデザインに意識を向けることが必要です。
そのためには、できるだけ多く問題があるデザイン事例に触れ、それに対して修正を加えていくこと、その経験を積み重ねていくことが大切です。

🖍️ 色の機能的役割とその配慮
色にはさまざまな機能的はたらきがあり、それは組み合わせる色によって効果が異なります。
どのように色を組み合わせると効果があるのか、また、色覚特性を持つさまざまな人たちにはどのように見えるのかを把握しておかなければなりません。
視認性
対象物を注視したとき、その対象物の存在の確認のしやすさを視認性といいます。
背景と対象物の明度差の大きくすると、視認性は上がり確認しやすくなります。



赤い実がなる植物では、背景が緑、対象物が赤になるので、1型色覚や2型色覚の人には赤い実が見つけにくい場合があります(→復習)。
明視性・可読性
図形の意味の理解しやすさを明視性、文字の読みやすさを可読性といいます。
背景色と対象物の明度差の大きくすると、明視性や可読性は上がり見やすくなります。

また、セパレーションカラーを使って、文字にアウトラインを付けるのも効果的です。

誘目性
対象物に注意を向けてないときの発見のされやすさを誘目性といいます。
誘目性は背景と色相に関係があり、鮮やかな暖色系の色は誘目性が高くなり発見しやすくなります。


赤を使用した場合、1型色覚の人には赤が暗く見えるので、効果が感じられない場合があります。
赤は、危険や注意を促すときに使用する場合が多いので、命に関わる可能性があります。
識別性
複数の対象物に対して、その形状や色の特性による区別のしやすさを識別性といいます。
識別性は色の違いを色名で言い表せる組み合わせであれば有効です。


1型色覚や2型色覚の人には、「赤と緑」「黄と黄緑」「暗い緑と茶色」「茶色と赤」「青と青紫」などは識別が難しくなります。また、高齢者には「白と黄」「黒と青」などの組み合わせが識別が困難です。
意味性・記号性
色彩が感情に及ぼす影響を色の感情効果といいます。
色によって引き起こされる効果は異なりますが、その効果は多くの人に共通しています。


色を記号として用いる場合、色覚特性のある人には色が何かわからないと何を意味を示してるかわからない場合があります。
📝 色のユニバーサルデザインの手順
基本的な色のユニバーサルデザインを設計する手順です。
作成した設計案が、正常色覚の人にも色覚特性のある人にも有効に伝わるように、確認→修正を繰り返し、吟味します。

1. 条件の整理
対象物をどのような人が使用するのか、また、どのような環境や場所で使用されるのかなどの条件を整理。
また、ユーザーの要望や問題点などを調査する場合もある。
2. 基本方針の設定
対象物を情報伝達のために使用するのか、印象を演出するために使用するのかを決め、それらの効果を高めるために、色、形、書体、素材、仕上げなどをどのようにするか、基本的な指針を決める。

3. 設計案の作成
どんな色覚特性を持った人にも情報が伝わるよう配慮して、設計案を作成する。
色以外にも形や模様を工夫したり、文字を添えるなどの色だけで伝える以外の方法も含めて検討し、多くの人に情報が正確に伝わるよう設計案を作成する。

4. 有効性のチェック
作成した設計案を、シュミレーションソフトやシュミレーションメガネなどを用いてチェックする。
当事者である色覚異常の人や高齢者、ロービジョン、子どもや日本語のわからない海外の方に確認してもらうのが望ましい。

5. デザインの修正
チェックの結果、問題があれば、「3. 設計案の作成」に戻り、修正をする。

6. 完成
「4. 有効性のチェック」→「 5. デザインの修正」を繰り返し、問題がなくなれば、完了。

多様な色覚特性を理解し、それぞれの見え方の特徴、設計案作成時のポイント、チェック方法を身に付けることが大事です。
🔑 設計と修正のポイント
3. 設計案の作成、5. デザインの修正のポイントです。
1. 多くの人が区別しやすい色を用いる
① 色の明度差をつける

文字や図などの表示は明るい色と暗い色の組み合わせにして、背景と表示の色に明度差をつける。
情報伝達を高める方法をして、正常色覚、色覚異常、高齢者、ロービジョンを問わず、あらゆる人に有効です。

② 文字にアウトライン・背景と図に境界線を入れる

背景と文字、背景と図にあまり明度差のない場合に、明度の異なる色のアウトラインや境界性を入れるとわかりやすくなります。

③ 色の彩度差をつける

鮮やかな色と無彩色の組み合わせにように、彩度差が大きいと区別しやすくなります。
低彩度同士の組み合わせは、鮮やかな色の組み合わせより区別しにくくなるため避けるようにする。

④ 区別しにくい色系統の組み合わせを避ける

色覚特性を持っている人や高齢者が区別しにくい色の組み合わせを避ける。
⑤ 微妙な色の差にも配慮する
色相、明度、彩度のわずかな違いまで吟味して、さまざまな色覚特性を持つ人に区別しやすい色を検討します。
色覚特性を持っている人には、ピンクと水色は区別しづらいですが、ピンクを黄みのピンクにすると区別しやすくなります。

2. 色以外の要素を活用する
① サイズを大きくする、文字を太くする

② 形を変える
③ 異なるハッチング(地模様)を入れる
④ 文字や番号を付ける、アンダーラインを加える
3. 色名をつける
色の区別がつかない場合でも、色名が文字で添えられていれば容易に判別できます。



🧐 チェックの方法
4. 有効性のチェックの方法です。
画像の白黒化
色味の情報をなくしてチェックする。
色覚特性に関わらず、明度差があれば対象は見つけやすく、読みやすく、識別しやすくなります。
シュミレーションソフト
パソコン上で、色覚異常や高齢者の色覚・視覚特性をシュミレーションできるソフトやアプリを利用して、区別しにくい色の組み合わせがないかチェックします。

色覚シュミレーション・モニター画面
液晶モニターには、機能として色覚異常や高齢者の色覚・視覚特性をシュミレーションできるものもあります。

フィルター(メガネ)
1型や2型の色覚特性をシュミレートしたフィルター(メガネ)があります。
また高齢者による水晶体の黄変を模したゴーグルも作られています。
出典:色弱模擬フィルタ「バリアントール」| 伊藤光学工業株式会社

5. 当事者に確認してもらう
一番効果的なのは、さまざまな色覚特性を持つ人、高齢者、正常色覚の人に確認してもらい、意見をもらうことが理想です。

📘 まとめ
「第7章 色のユニバーサルデザインの進め方」は、今までに学んだユニバーサルデザインの考え方に沿った色彩計画の進め方についてまとめた章です。
色彩検定UC級は、色彩検定3級と合わせて勉強すると、もっと詳しく学ぶことができます。