
色彩検定UC級は、2018年冬期から新設された検定です。
UC級では、色のユニバーサルデザインの基本を学ぶことができます。
色彩検定の中でも難易度は低いので、ポイントを押さえていけば、比較的簡単に合格できます。
「色彩検定UC級 レッスン」では公式テキストに沿って、検定に合格するためのポイントを解説していきます。
では早速、色彩検定UC級の第6章「ユニバーサルデザイン」を学習していきましょう。

📚 公式テキスト
📖 目次
🧩 第6章 ユニバーサルデザイン
🏗️ ユニバーサルデザインとは何か
ユニバーサルデザインとは、元のデザインの改造や特別な設計を必要とせずに、年齢、性別、能力、状況の違いにかかわらず、最初からすべての人々にとって利用しやすく設計されたデザインのことです。

ユニバーサルデザインは、1950年にバンク・ミケルセン(デンマーク)が提唱したノーマライゼーションの考え方が出発点になります。
ノーマライゼーション
ノーマライゼーションとは、1950年代に北欧諸国から始まった社会福祉をめぐる社会理念の一つで、障害者も健常者と同様の生活が出来る様に支援するべき、という考え方である。
またそこから発展して、障害者と健常者とは、お互いが特別に区別されることなく、社会生活を共にするのが正常なことであり、本来の望ましい姿であるとする考え方としても使われることがある。またそれに向けた運動や施策なども含まれる。
まだ日本ではこのような考え方はなく、1970年代に高齢化が加速した頃から障害者の社会参加が検討され始めました。これがバリアフリーの始まりです。
バリアフリーとは、障害者の高齢者の社会参加を困難にする障壁をできるだけ取り除こうとする考え方で、現存するものから障壁となる点を取り除き、または障壁とならないよう専用の機能などを後付けするデザインのことです。

バリアフリーと違って、ユニバーサルデザインには、高齢者や障害者だけではなく、国籍・年齢・性別を問わず、あらゆる人にとってどのような状況でも快適に使えることが求められます。

重要なことは、高齢者や障害者に使いやすいものは、すべての人にも使いやすいということです。
📜 日本におけるユニバーサルデザインの歴史
日本におけるユニバーサルデザインの歴史は、まだまだ浅いです。
- 1985年「視覚障害者誘導用ブロック設置指針」策定
- 1986年「長寿社会対策大綱」策定
- 1987年「シルバーハウジングプロジェクト制度」創設
- 1989年「高齢者保健福祉推進10ヵ年戦略(ゴールドプラン)」策定
- 1991年「福祉の街づくりモデル事業」
- 1993年「障害者対策に関する新長期計画」
- 1994年「高齢者・障害者が円滑に利用できる特定建設物の建築促進に関する法律(ハートビル法)」制定
- 1994年「生活福祉空間づくり大綱」策定
- 1995年「障害者プラン(ノーマライゼーション7ヵ年プラン)」策定
- 1995年「高齢社会対策基本法」制定
- 1996年「生活福祉空間ガイドライン」制定
- 1999年「新エンゼルプラン」策定
- 2000年「交通バリアフリー法」施行
- 2001年「新しい高齢社会対策大綱」策定
- 2002年「道路の移動円滑化整備ガイドライン」策定
- 2003年「バリアフリー化推進要綱」
- 2006年「住生活基本法」制定、「バリアフリー新法」施行
- 2008年「バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進要綱」
- 2011年「高齢者の居住の安定確保に関する法律」施行
- 2017年「ユニバーサルデザイン2020行動計画」決定

日本の工業規格では、ユニバーサルデザインに関連する数多くのアクセシブルデザイン規格を制定しています。
アクセシブルデザイン
アクセシブルデザインとは、高齢者や障害者など何らかの機能に制限を持つ人々に焦点を合わせ、これまでの設計をそのような人々のニーズに合わせて拡張することによって、製品・建物およびサービスをそのまま利用できる潜在顧客数を最大限まで増やそうとする設計のことです。
JIS Z8071より抜粋
アクセシブルデザインの規格は、世界的にも多く制定されていますが、日本のアクセシブルデザイン規格をもとに国際標準化が進められています。

🎯 ユニバーサルデザインの7つの原則
ユニバーサルデザインの概念は、1980年代にアメリカの建築家・工業デザイナーのロナルド・メイスによって提唱されました。

ロナルド・メイスによって提唱された概念は、その後多くの研究者により「ユニバーサルデザインの7つの原則」にまとめられました。
🎯 ユニバーサルデザインの7つの原則
- 原則1:誰にでも公平に使えること
- 原則2:使う上で自由度が高いこと
- 原則3:使い方が簡単ですぐわかること
- 原則4:必要な情報がすぐに理解できる
- 原則5:うっかりミスや危険につながらないデザインであること
- 原則6:無理な姿勢をとることなく、少ない力でも楽に使用できること
- 原則7:アクセスしやすいスペースと大きさを確保すること

👁️🗨️ 視覚情報に関わるユニバーサルデザイン
超高齢社会の日本では、色の側面においてもユニバーサルデザインの考え方を適用することが必要不可欠です。
色のユニバーサルデザイン
視覚情報に関わるユニバーサルデザインを考えるには、まず視覚特性の多様性について知ることが必要です。

色を区別しづらい人や、白内障などの病気で視野がぼやける人、また日本語を理解できない海外の人など、すべての人にとってわかりやすく、容易に意味や内容が理解できる視覚デザインが必要です。
また視覚情報だけに頼るのでなく、点字や視覚障害者誘導用ブロックなどの触覚情報、音声ガイドなどの聴覚情報を合わせて使用することも重要です。

ピクトグラム
最近では、設備内容を単純なイラストや図で表したピクトグラムが多用されています。
案内用図記号(JIS Z8210):国土交通省
日本人はもちろん、日本語文字を読めない海外の人や子供たちにとっても、瞬間的に意味が理解できるので大変有効です。

ピクトグラムは、日本において1964年の東京オリンピック開催時に開発されたのが始まりで、2001年には日本工業規格(JIS)で規定されました。
2020年の東京オリンピックに向けては、国際標準化機構(ISO)による規格に揃えるため、JISの修正が行われました。

📋 まとめ
「第6章 ユニバーサルデザイン」では、ユニバーサルデザインの基本的な考え方や歴史、7つの原則、視覚情報に関わる実例などを学びました。
色彩検定UC級は、色彩検定3級と合わせて勉強すると、もっと詳しく学ぶことができます。
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