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行政手続法での不利益処分の意見陳述には、聴聞と弁明の機会の付与とがあります。
聴聞と弁明の機会の付与との違いは試験で、よく聞かれます。
行政手続法では、不利益処分は基本的に聴聞の手続きが取られ、聴聞の区分に該当しないときに弁明の機会が付与されることになっています。
弁明の機会が付与には、不利益処分の基本的な事項以外は聴聞手続きの15条3項(処分の内容通知)と16条(代理人)の2つだけが準用されていることを抑えていれば理解しやすいです。
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比較表
早速、聴聞と弁明の機会の付与の比較表を見てみましょう。
よく比較して出題されるのは以下の10個です。
聴聞 |
弁明 |
|
1. 処分基準(12条) |
○ |
○ |
2. 処分理由の提示(14条) |
○ |
○ |
3. 処分の内容通知(15条) |
○ |
○ |
4. 代理人(16条) |
○ |
○ |
5. 参加人の関与(17条) |
○ |
× |
6. 文書等の閲覧 |
○ |
× |
7. 主宰者(19条) |
○ |
× |
8. 口頭(20条) |
○ |
× →行政庁が認めた場合は○ |
9. 調書(24条) |
○ |
× |
10. 書面(29条) |
× |
○ |
1. 処分基準
処分基準は不利益処分に対して定められるものなので、聴聞と弁明の機会の付与のどちら場合であっても、処分基準は定め、公にしておく努力義務があります。
問)処分基準の設定は、行政手続法上、聴聞を経る処分の手続には認められても、弁明の機会の付与を経る処分の手続には認められていない
正解 ×
2. 処分理由の提示
処分理由の提示は不利益処分をするときに示さなければいけないものなので、聴聞と弁明の機会の付与のどちら場合であっても、理由の提示をしなくてはいけません。
問)不利益処分の理由の提示は、行政手続法上、聴聞を経る処分の手続には認められても、弁明の機会の付与を経る処分の手続には認められていない
正解 ×
3. 処分の内容通知
予定される不利益処分の内容等の通知は聴聞の規定ですが、弁明の機会の付与の場合であってもしなくてはいけません。
第15条第3項は弁明の機会の付与について準用されています。
第31条 第15条第3項及び第16条の規定は、弁明の機会の付与について準用する。
第15条 3 行政庁は、不利益処分の名あて人となるべき者の所在が判明しない場合においては、第1項の規定による通知を、その者の氏名、同項第3号及び第4号に掲げる事項並びに当該行政庁が同項各号に掲げる事項を記載した書面をいつでもその者に交付する旨を当該行政庁の事務所の掲示場に掲示することによって行うことができる。この場合においては、掲示を始めた日から2週間を経過したときに、当該通知がその者に到達したものとみなす。
問)予定される不利益処分の内容等の通知は、行政手続法上、 聴聞を経る処分の手続には認められても、弁明の機会の付与を経る処分の手続には認められていない
正解 ×
4. 代理人
聴聞の場合であっても弁明の機会の付与の場合であっても、代理人を選任することができます。
問)聴聞の場合も弁明の機会の付与の場合も、当事者は代理人を選任することができる
正解 ○
第16条は弁明の機会の付与について準用されています。
第31条 第15条第3項及び第16条の規定は、弁明の機会の付与について準用する
第16条 前条第1項の通知を受けた者は、代理人を選任することができる
5. 参加人の関与
参加人の関与は、聴聞の場合には認められていますが、弁明の機会の付与の場合には認められていません。
問)参加人の関与は、行政手続法上、聴聞を経る処分の手続には認められても、弁明の機会の付与を経る処分の手続には認められていない
正解 ○
6. 文書等の閲覧
文書閲覧権は、聴聞には認められていますが、弁明の機会の付与には認められていません。
問)聴聞の相手方については、聴聞の通知があったときから聴聞が終結する間まで、関係書類の閲覧を求める権利が認められるが、弁明の機会を賦与される者には、こうした権利は認められない
正解 ○
7. 主宰者(19条)
聴聞の場合は、行政庁が指名した職員その他政令で定める者が主宰しますが、弁明の機会の付与の場合は主宰者は指名されません。
問)聴聞の場合も弁明の機会の付与の場合も、行政庁が指名した職員その他政令で定める者が主宰する
正解 ×
8. 口頭
聴聞は口頭の審理によるのが原則で、弁明の機会の付与の場合は書面によってするのが原則です。ただ、弁明の場合は行政庁が口頭ですることを認めたときは口頭ですることができます。
問)聴聞の場合も弁明の機会の付与の場合も、口頭による審理が原則である
正解 ×
9. 調書
聴聞の主宰者は、聴聞の審理の経過を記載した調書を作成なければいけませんが、弁明の機会の付与の場合は調書の作成義務はありません。
問)聴聞の主宰者は、弁明または聴聞の審理の経過を記載した調書を作成し、当該調書において、不利益処分の原因となる事実に対する当事者および参考人の陳述の要旨を明らかにしなければならない
正解 ×
10. 書面(29条)
聴聞は口頭の審理によるのが原則で、弁明の機会の付与の場合は書面によってするのが原則です。ただ、弁明の場合は行政庁が口頭ですることを認めたときは口頭ですることができます。
問)聴聞の場合も弁明の機会の付与の場合も、書面の提出による審理が原則である
正解 ×
まとめ
行政手続法の意見陳述には、聴聞と弁明の機会の付与とがあります。
不利益処分に全体に関わる規定以外は、聴聞手続きの15条3項(処分の内容通知)と16条(代理人)の2つだけが弁明の機会が付与に準用されていると覚えておきましょ
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