
行政書士の会社法は、配点は低いですが、過去に出題されたテーマだけはしっかりと抑えていきたいです。
会社法では、株主や会社債権者にいくつかの閲覧謄写請求権が認められています。
どんな閲覧謄写請求権ができるパターンがあるので、まとめて一気に覚えてしまいましょう。
試験によく出題されるのは大きく4パターンです。
📘 パターン
閲覧謄写請求が可能なものは、定款、株式名簿、株式総会の議事録、議決権行使書面、取締役会の議事録、会計帳簿、計算書類等の7つです。
また請求できる人は、株主、会社債権者、親会社社員の3つです。
あとはそれぞれの組み合わせなので、ひとつずつ覚えてきましょう。
📄 定款
株主及び債権者は、営業時間内はいつでも、定款の閲覧または謄写の請求ができます。
株式会社の親会社社員は、裁判所の許可を得て、定款の閲覧または謄写の請求ができます。
第31条
発起人(株式会社の成立後にあっては、当該株式会社)は、定款を発起人が定めた場所(株式会社の成立後にあっては、その本店及び支店)に備え置かなければならない。
2. 発起人(株式会社の成立後にあっては、その株主及び債権者)は、発起人が定めた時間(株式会社の成立後にあっては、その営業時間)内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、発起人(株式会社の成立後にあっては、当該株式会社)の定めた費用を支払わなければならない。
一 定款が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧の請求
二 前号の書面の謄本又は抄本の交付の請求
三 定款が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
四 前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって発起人(株式会社の成立後にあっては、当該株式会社)の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求
3. 株式会社の成立後において、当該株式会社の親会社社員(親会社の株主その他の社員をいう。以下同じ。)がその権利を行使するため必要があるときは、当該親会社社員は、裁判所の許可を得て、当該株式会社の定款について前項各号に掲げる請求をすることができる。ただし、同項第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該株式会社の定めた費用を支払わなければならない。
📘 問)
株式会社の株主および債権者は、 株式会社の営業時間内は、いつでも、定款が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧の請求をすることができる
✅ 正解 ○
📋 株主名簿
株主及び債権者は、営業時間内はいつでも、株主名簿の閲覧または謄写の請求ができます。
株式会社の親会社社員は、裁判所の許可を得て、株主名簿の閲覧または謄写の請求ができます。
第125条
株式会社は、株主名簿をその本店(株主名簿管理人がある場合にあっては、その営業所)に備え置かなければならない。
2.株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
一 株主名簿が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求
二 株主名簿が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
4.株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、当該株式会社の株主名簿について第二項各号に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
📘 問)
株主及び会社債権者は、株式会社の営業時間内はいつでも、株主名簿の閲覧謄写を請求することができる
✅ 正解 ○
📝 株主総会の議事録
株主及び債権者は、営業時間内はいつでも、株主総会の議事録の閲覧または謄写の請求ができます。
株式会社の親会社社員は、裁判所の許可を得て、株主総会の議事録の閲覧または謄写の請求ができます。
第318条
株主総会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成しなければならない。
4. 株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
一 第一項の議事録が書面をもって作成されているときは、当該書面又は当該書面の写しの閲覧又は謄写の請求。
二 第一項の議事録が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求。
5.株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、第一項の議事録について前項各号に掲げる請求をすることができる。
📘 問)
株式会社の親会社社員は、株式会社の営業時間内はいつでも、株主名簿の閲覧謄写を請求することができる
✅ 正解 ×
🗳 議決権行使書面
株主は、営業時間内はいつでも、議決権行使書面の閲覧または謄写の請求ができます。
第311条
4. 株主は、株式会社の営業時間内は、いつでも、第一項の規定により提出された議決権行使書面の閲覧又は謄写の請求をすることができる。
📘 問)
株式会社の株主および債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、株主総会における議決権行使書面の閲覧または謄写の請求をすることができる
✅ 正解 ×
→ 債権者には議決権行使書面の閲覧または謄写の請求権はありません。
📄 取締役会の議事録
株主
取締役会設置会社の株主は、営業時間内はいつでも、取締役会の議事録の閲覧または謄写の請求ができます。
株主(監査役設置会社・監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社)
株主(監査役設置会社、監査等委員会設置会社又は指名委員会等設置会社)は、裁判所の許可を得て、取締役会の議事録の閲覧または謄写の請求ができます。
債権者
取締役会設置会社の債権者は、裁判所の許可を得て、取締役会の議事録の閲覧または謄写の請求ができます。
第371条
取締役会設置会社は、取締役会の日から十年間、第三百六十九条第三項の議事録又は第三百七十条の意思表示を記載し、若しくは記録した書面若しくは電磁的記録をその本店に備え置かなければならない。
2.株主は、その権利を行使するため必要があるときは、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
一 前項の議事録等が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求。
二 前項の議事録等が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求。
3.監査役設置会社、監査等委員会設置会社又は指名委員会等設置会社における前項の規定の適用については、同項中「株式会社の営業時間内は、いつでも」とあるのは、「裁判所の許可を得て」とする。
4.取締役会設置会社の債権者は、役員又は執行役の責任を追及するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、当該取締役会設置会社の議事録等について第二項各号に掲げる請求をすることができる。
📘 問)
株主および会社の債権者は、会社の営業時間内ならいつでも取締役会議事録を閲覧または謄写することを請求できる。
✅ 正解:×
📘 問)
監査役または監査等委員会が設置されている株式会社の株主は、取締役の任務懈怠を理由とする責任追及を行うために、当該会社に対して、営業時間内であれば、いつでも取締役会議事録の閲覧および謄写を請求することができる。
✅ 正解:×
📘 問)
会社債権者は、取締役の責任追及のために必要な場合に限り、裁判所の許可を得て、取締役会議事録の閲覧・謄写請求をすることができる。
✅ 正解:○
📊 会計帳簿
株主
総株主の議決権の百分の三以上の議決権を有する株主、または発行済株式の百分の三以上の数の株式を有する株主は、株式会社の営業時間内はいつでも、会計帳簿の閲覧又は謄写の請求ができます。
親会社社員
株式会社の親会社社員は、裁判所の許可を得て、会計帳簿の閲覧又は謄写の請求ができます。
第433条
総株主の議決権の百分の三以上の議決権を有する株主又は発行済株式の百分の三以上の数の株式を有する株主は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
一 会計帳簿又はこれに関する資料が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求。
二 会計帳簿又はこれに関する資料が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求。
3.株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、会計帳簿又はこれに関する資料について第一項各号に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
📘 問)
株主は、1株でも有していれば、株式会社の営業時間内は、いつでも、会計帳簿の閲覧・謄写を請求することができる。
✅ 正解:×
📘 問)
総株主の議決権の百分の三以上の議決権を有する株主は、その権利を行使するために必要があるときには、裁判所の許可を得て、会計帳簿の閲覧を請求することができる。
✅ 正解:×
📑 計算書類等
株主 債権者
株主及び債権者は、営業時間内はいつでも、計算書類等の閲覧または謄写の請求ができます。
親会社社員
株式会社の親会社社員は、裁判所の許可を得て、計算書類等の閲覧または謄写の請求ができます。
📜 第442条
3.株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該株式会社の定めた費用を支払わなければならない。
一 計算書類等が書面をもって作成されているときは、当該書面又は当該書面の写しの閲覧の請求。
二 前号の書面の謄本又は抄本の交付の請求。
三 計算書類等が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求。
四 前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって株式会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求。
4.株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、当該株式会社の計算書類等について前三項各号に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該株式会社の定めた費用を支払わなければならない。
📘 問)
株式会社の株主および債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、計算書類等が書面をもって作成されているときは、当該書面または当該書面の写しの閲覧の請求をすることができる。
✅ 正解:○
📗 まとめ
会社法では、株主や会社債権者にいくつかの閲覧謄写請求権が認められています。
閲覧謄写請求権ができるパターンは、6つしかありません。
そのうちの4パターンはまったく同じなので、惑わされずに覚えましょう。

パターンで整理すると覚えやすいです!