こんばんは。 UCアドバイザーのひねもすのたり管理人のブソンです。
「ひねもすのたり 独学で!資格ブログ」は、独学で資格取得を目指していくブログです。
色彩検定のUC級は、2018年冬期から新設された検定です。
色彩検定のUC級では、色のユニバーサルデザインの基本を学ぶことができます。
色彩検定の中でも難易度は低いので、ポイントを押さえていけば、比較的簡単に合格できます。
「色彩検定UC級 レッスン」では公式テキストに沿って、検定に合格するためのポイントを解説していきます。
では早速、色彩検定UC級の第5章「高齢者の見え方」を学習していきましょう。
公式テキスト
目次
第2章 色が見えるしくみ
第3章 色の表し方
第4章 色覚異常による色の見え方
第5章 高齢者の見え方
第6章 ユニバーサルデザイン
第7章 色のユニバーサルデザインの進め方
事例集 ❶ ❷
資料集
第5章 高齢者の見え方
加齢による見え方の変化
ユニバーサルデザインを考えるにあたって、高齢者の見え方には十分に配慮をしなければいけません。
加齢によって、視力低下、老眼、色を見分ける感度の低下などが起ります。
その原因には、水晶体の硬化や透過率の低下、焦点調整機能の低下、瞳孔径の縮小、網膜感度の低下、視神経の減少などがあります。
皮膚がたるみや、まぶたの筋肉が緩みなどで、視野ふさがって見にくくなることもあるぞ
1. 水晶体の加齢変化
眼に入った光は、角膜→前房→水晶体→硝子体を経て、網膜へと到達します。
角膜、前房、水晶体、硝子体はもともと透明なのですが、加齢によって少しずつ透明性が失われていきます。
角膜
加齢の影響は受けにくいが、黄変することがある。
前房
前房水中にフレアと呼ばれる浮遊物が増加し、透明性が少しずつ失われる。
水晶体
黄変する。
また、水晶体内のタンパク質が増加し、光が透過するときに散乱してまぶしく感じるグレアが生じる。
タンパク質の量が多くなって、白濁した状態を白内障と呼ぶ。
白内障はよく聞くのう。加齢によるタンパク質の増加が原因なんじゃのう
硝子体
加齢とともに水溶化していき、空洞が生じたり、しわが寄ったり、網膜との接着部分が剥がれたりする。
これらの中でもっとも見え方に影響が出るのは、水晶体の透過率と水晶体の弾力性の低下です。
加齢によって水晶体が白濁することで光の透過率が減少するので、網膜には光が届きにくくなります。
その結果、視力低下、網膜像の質の低下、光の散乱によるグレアなどが起こります。
水晶体は黄変もするので、短波長の青い光を多く吸収し、青色が暗く見えます。
だんだん青と黒の区別がつきにくくなってくるぞ
また、水晶体の弾力性の減少、水晶体を左右に引っ張る毛様体筋・毛様小帯の衰えなどで、だんだんと焦点が合わなくなってきます(老眼)。
加齢により動体視力も徐々に低下していきます。
スクロールする電光掲示板など動きをともなう表示には、配慮が必要じゃぞ
2. 瞳孔径の加齢変化
虹彩は、眼に入る光の量を調整しています。
虹彩のはたらきによって、暗い場所では瞳孔径(瞳孔の直径)が拡大して多くの光を取り込むことができ、明るい場所では瞳孔径が縮小してまぶしさを軽減させることができます。
若齢者と高齢者を比べると、明るい場所ではそこまで大差はありませんが、暗い場所では高齢者の瞳孔径はあまり拡大しないので、取り込む光の量が減って、ものが見えにくくなります。
暗いところでは黒目が大きくなり、明るいところでは黒目が小さくなるぞ
3. 順応時間
以上のように、暗い場所での取り込む光の量が減り、水晶体の透過率も減少するので、高齢者の網膜に到達する光の量は、若齢者と比べてかなり少なくなります。
若齢者の心身機能を100%とすると、55〜59歳の人の視覚はかなり衰え、中でも明暗への順応は35%程度にまで低下すると言われています(急に暗い場所に入ったときに暗さに眼が慣れてくることを暗順応、明るい場所へ出たときに明るさに対して眼が慣れてくることを明順応といいます)。
網膜に到達する光の量は、20歳を基準にすると、50歳で約50%、60歳で約66%も減少するそうです。
50歳以上の人は30分以上たっても、暗い場所では完全に順応できないとされています。
車でトンネルに入る場合や、急いで映画館など入る場合には、注意が必要じゃ
高齢者の見え方の特徴
高齢者は、色の弁別機能も低下します。
色の弁別能力は20代半ばが最も優れていて、加齢によって少しずつ低下していきます。
水晶体や硝子体が混濁して透明性が失われると、背景と表示のコントラストも低下します。
高齢者が色を弁別するには、より高いコントラストが必要になります。
その場合に注意することは、コンストラストを上げるために明るい光を用いることは逆効果になることです。
高齢者は、水晶体の混濁によりまぶしく感じてしまう状態にあることを頭に入れておくのじゃ
加齢にともなう眼疾患者の色の見え方
1. 老人性白内障
水晶体が白濁する白内障は、60歳台で60〜70%、70歳台で90%、80歳台で100%近くに及ぶとされています。
80歳以上の人は、全員が見えにくい状態にあると思った方がいいのぅ
初期の白内障は自覚症状はなく、視力の低下もありません。
白内障は以下の順で進行していきます。
↓
❷ 物が二重に見える(未熟白内障)
↓
❸ 明暗しか感じなくなる(成熟白内障)
❷ 未熟白内障では、水晶体の内部で光が散乱するため、まぶしさを感じたり、表示が読みづらくなったり、色の識別も困難になります。
2. 緑内障
緑内障は、視神経に障害が起こって視野が狭くなる病気です。
日本人の40歳以上の3.5%が発症するとされています。
緑内障は、視野欠損、視野狭窄、霧視、視力低下などの症状が現れ、視野欠損が生じると実線と点線の区別がつきにくくなります。
緑内障は、眼圧の増加して視神経が圧迫されることが原因じゃ。目薬などで眼圧を下げることで治療できるぞ
3.加齢性黄斑変性
網膜の中心にある黄斑に障害が生じて、視野の中心が見えにくくなる病気です。
視野の中心が見えづらくなる中心暗点や、ものが歪んで見える変視症などの症状があります。
欧米の成人の失明原因の第1位の病気です。
高齢者がわかりにくい事例
JISZ8071「高齢者障害者配慮設計指針」では、高齢者への視覚に関する配慮すべき対象物として下記をあげています。
- 手で触れる可能性ある鋭い角や縁
- 同一面上の段差、障害物または突起物
- むき出しの火および炎
- 触覚警告表示のない腐食物
- 視覚表示だけに依存する避難誘導システム
- 色だけでしかわからない警告表示、背景と文字のコントラストの低い警告表示
その他にも、日常生活において高齢者がわかりにくい事例です。
- 飲み薬の色の区別
- 黒い鍋に入れた油の量
- 青色の標識
- 道路の凹凸 など
あくまで一例じゃ。高齢者にわかりづらいことはたくさんあるので、意識することが大切じゃぞ
高齢者やロービジョンへの配慮
老齢者やロービジョンの方に重要な情報を伝えるには、以下のような配慮が必要です。
- 照明の明るさや位置を適切にする
- 表示の大きさや背景とのコントラストなどを適切にする
- 文字は状況に応じて適した書体、配置、太さとする
- 色だけに頼らず、形や質感の違いを利用する
- 視覚以外にも、聴覚、触覚なども活用する
- 段差や危険な場所には、床面に色付きの標識を置く
- 階段、ホーム、横断歩道には触覚式の床標識を置く
これらは老齢者やロービジョンの方だけではなく、様々な視覚特性を持つすべての人に有効じゃぞ
まとめ
「第5章 高齢者の見え方」は、加齢につれてどのように見え方が変化するかとその配慮の方法ついてです。
色彩検定UC級は、色彩検定2級のテキストと合わせて勉強すると、もっと詳しく学ぶことができます。
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