
色彩検定のUC級は、2018年冬期から新設された検定です。
色彩検定UC級では、色のユニバーサルデザインの基本を学ぶことができます。
色彩検定のUC級は、色彩検定の中でも難易度が低い試験ですので、ポイントを押さえれば、比較的簡単に合格できます。
「色彩検定UC級 レッスン」では公式テキストに沿って、検定に合格するためのポイントを解説していきます。
では、色彩検定UC級の第5章「高齢者の見え方」を学習していきましょう。

📚 公式テキスト
📖 目次
🧬 第5章 高齢者の見え方
🔎 加齢による見え方の変化
ユニバーサルデザインを考えるにあたって、高齢者の見え方には十分に配慮をしなければいけません。
加齢によって、視力低下、老眼、色を見分ける感度の低下などが起ります。
その原因には、水晶体の硬化や透過率の低下、焦点調整機能の低下、瞳孔径の縮小、網膜感度の低下、視神経の減少などがあります。

👁️ 水晶体の加齢変化
眼に入った光は、角膜→前房→水晶体→硝子体を経て網膜に到達します。
これらの部位は本来透明ですが、加齢によって少しずつ透明性が失われていきます。

角膜
加齢の影響は受けにくいですが、黄変することがあります。
前房
前房水中にフレアと呼ばれる浮遊物が増加し、透明性が少しずつ失われます。
水晶体
黄変し、タンパク質が増加して光が散乱し、まぶしく感じるグレアが生じます。さらに白濁が進むと白内障になります。
硝子体
加齢とともに水溶化し、空洞が生じたり、しわが寄ったり、網膜との接着部分が剥がれたりします。

加齢により水晶体が白濁し、光の透過率が低下すると、網膜には光が届きにくくなり、視力低下、網膜像の質の低下、グレアの発生が起こります。
また、水晶体が黄変するため、青い光を多く吸収し、青色が暗く見えます。

さらに、水晶体の弾力性が減少し、毛様体筋や毛様小帯の衰えにより、焦点が合いにくくなり老眼が進行します。
加齢に伴って動体視力も低下していきます。

👓 瞳孔径の加齢変化
虹彩は眼に入る光の量を調整する役割を持っています。
暗い場所では瞳孔が広がり、多くの光を取り込むことができ、明るい場所では瞳孔が縮小してまぶしさを軽減します。
若齢者と高齢者を比較すると、明るい場所では大きな違いはありませんが、暗い場所では高齢者の瞳孔径はあまり広がらないため、取り込める光の量が減少し、ものが見えにくくなります。

🌗 順応時間
暗い場所に入ったときに慣れるのを暗順応、明るい場所に出たときに慣れるのを明順応といいます。
加齢により、暗順応・明順応に要する時間が長くなります。
若齢者の心身機能を100%とすると、55〜59歳では視覚機能が大きく低下し、明暗への順応は35%程度にまで落ちます。
また、網膜に届く光の量は、20歳を基準とすると50歳で約50%、60歳で約66%も減少します。
50歳以上になると、暗い場所に入って30分以上経っても完全に順応できないこともあります。

👓 高齢者の見え方の特徴
高齢者は、色の弁別機能も低下していきます。
色の弁別能力は20代半ばが最も高く、加齢によって徐々に低下します。
水晶体や硝子体が混濁して透明性が失われると、背景と表示のコントラストも低下します。
高齢者が色を弁別するためには、より高いコントラストが必要ですが、明るい光を用いてコントラストを上げると逆効果になることがあります。

🩺 加齢にともなう眼疾患者の色の見え方
👵 老人性白内障
水晶体が白濁する白内障は、60歳代で60〜70%、70歳代で90%、80歳代で100%近くに及ぶとされています。

初期の白内障は自覚症状がなく、視力の低下もありません。
白内障は以下の順で進行します。
- ❶ 霧がかかったように見える(霧視)
- ❷ 物が二重に見える(未熟白内障)
- ❸ 明暗しか感じなくなる(成熟白内障)
未熟白内障では、水晶体内部で光が散乱するため、まぶしさや読みにくさ、色の識別困難が生じます。
👓 緑内障
緑内障は、視神経に障害が起きて視野が狭くなる病気です。
日本人の40歳以上の3.5%が発症するとされています。
症状には視野欠損、視野狭窄、霧視、視力低下などがあり、実線と点線の区別がつきにくくなります。

🧿 加齢性黄斑変性
網膜の中心にある黄斑に障害が生じ、視野の中心が見えにくくなる病気です。
中心暗点(中心部が見えない)や変視症(ものが歪んで見える)といった症状があり、欧米の成人失明原因第1位の病気とされています。
📋 高齢者がわかりにくい事例
JIS Z 8071「高齢者・障害者配慮設計指針」では、高齢者の視覚に関する配慮すべき対象物として次のものを挙げています。
- 手で触れる可能性がある鋭い角や縁
- 同一面上の段差、障害物または突起物
- むき出しの火および炎
- 触覚警告表示のない腐食物
- 視覚表示だけに依存する避難誘導システム
- 色だけでしかわからない警告表示、背景と文字のコントラストの低い警告表示
また、日常生活で高齢者がわかりにくいとされている事例としては、次のようなものがあります。
- 飲み薬の色の区別
- 黒い鍋に入れた油の量
- 青色の標識
- 道路の凹凸 など



📝 まとめ
「第5章 高齢者の見え方」では、加齢による見え方の変化と、それに対する配慮について学びました。
色彩検定UC級は、色彩検定3級と合わせて勉強すると、もっと詳しく学ぶことができます。
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